大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第二小法廷 昭和41(あ)192 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人為成養之助、同坂本修、同高橋融、同小見山繁の上告趣意第一点は、憲法

一四条違反をいうが、記録に徴するも、検察官の本件公訴の提起及び第一、二審の

実体判決が、所論のごとく被告人が日本共産党員であることを理由としていると認

めるべき証拠は全くないから、所論違憲の主張は前提を欠き、適法な上告理由に当

らない。

同第二点は、憲法二一条違反をいうが、選挙の公正を期するため戸別訪問を禁止

した結果、言論の自由にある制限をもたらすことがあつても、その禁止規定が憲法

二一条に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例(昭和二四年(れ)第二五九一

号同二五年九月二七日判決、刑集四巻九号一七九九頁)の示すところであり、右判

例は未だ変更すべきものとは認められないから、所論は理由がない。

同第三点は、単なる法令違反の主張であり、同第四点は、事実誤認の主張であつ

て、適法な上告理由に当らない。

同第五点は、憲法一四条違反をいう点もあるが、記録に徴するも、原判決が被告

人を政治的信条を理由として不利益な差別を加えたと認めるべき証拠は全くないか

ら、右違憲の主張は前提を欠き、その余は量刑不当の主張であつて、すべて適法な

上告理由に当らない。

職権をもつて調査するに、原判決には、被告人本人提出の控訴趣意書(原審記録

一一丁)に対する判断を遺脱した違法があるが、右違法は未だ原判決を破棄しなく

とも著しく正義に反するとは認められない。その他記録を調べても、刑訴法四一一

条を適用すべきものとは認められない。

よつて、同四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

- 1 -

昭和四一年五月二七日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!